【群馬VS栃木】栃木に出し抜かれた⁉矢場川村と菱村の交換合併を解説

地方自治体の業務効率化のため、多くの市町村が合併をしてきました。
昭和・平成の大合併と聞いたことがあると思います。
しかし、県をまたいで、なおかつ村を交換する形での合併となると、
初めて聞くのではないでしょうか?

昭和の時代に群馬と栃木の間で、矢場川村と菱村の交換合併が行われました。
全国でも類を見ない珍しい事例です。
当時、群馬と栃木の思惑が衝突し、交渉が続きました。
どのような過程を経て合意に至ったのでしょうか。

結論から言うと、
群馬は栃木に一杯食わされてしまったのです。
今回は、群馬と栃木の合併の歴史を紹介します。

R副委員長
お散歩委員会のR副委員長です。
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矢場川村・菱村の交換合併の概要

合併の概要は、以下の通りです。

  • 矢場川村の一部
    群馬県から栃木県に合併
  • 菱村
    栃木県から群馬県に合併

県をまたいでの合併は、「越境合併」と呼ばれます。

ここでは詳細の説明は省略させてください。
矢場川村と菱村の合併の歴史は、別途記事でまとめます。
お楽しみに!

合併が起きた時代背景

昭和20~30年代は市町村合併が急速に進んだ時代でした。
「行政事務の効率化」や「財政基盤の強化」など、
地方自治体が抱える課題は増えるばかり。

小規模な自治体ではとても対応しきれない。
ということで、合併が盛んに行われたのでした。

「合併の経緯」と「栃木県の作戦」

ここから、2つの合併話がどのように進んでいったのか。
時系列に沿って解説していきます。

そして、合併話を有利に進めるため、栃木県はある作戦に出ました。
順を追って解説していきます。

栃木県菱村を群馬へ合併する話が浮上

栃木県南西端の菱村は、桐生川を挟んで群馬県と向かい合う場所に位置します。
栃木県の管轄であるものの、菱村住民の生活圏は群馬県にありました。
また、歴史的に見ても極めて結びつきが強い地域であったそうです。

そんな状況ですから、菱村の合併話はスムーズに進みました
合併の取りまとめは群馬県が行いました。

群馬県矢場川村を栃木へ合併する話が浮上

菱村の合併話がひと段落したところ、
今度は矢場川村の合併話が持ち上がったのです。

菱村の時とは打って変わって、矢場川村での交渉は難航を極めました。
村長のリコール請求にまで話は及んだのです。
取りまとめ役を務めた栃木県の苦労がうかがえます。

矢場川村には群馬と栃木からそれぞれ川が流れています。
同じ村内に、利用する川が異なるつまり、生活圏が違う人がいるのです。

安易に栃木県へ編入してしまうと、水利権争いに発展しかねません。
農業で生計を立てている人が今よりもずっと多い時代です。
水を巡るトラブルは、現代よりもずっとナーバスに捉えられていました。

だから、合併交渉は難航を極めたのです。

タイムリミットまであと2年

交渉がうまく進みませんが、タイムリミットは待ってくれません。

合併に関する法律「新市町村建設促進法」の期限は昭和36年6月
昭和34年4月に矢場川村の村議会委員選挙が行われますが、
合併の推進派11名、反対派5名と、未だに意見がまとまりません。

栃木県が交換条件での合併を提案

このままでは時間切れで、合併話が消えてしまう。
群馬から栃木への合併話です。
人口も面積も増える栃木県にとっては、絶対に逃したくありません。

そこで、栃木県が交換条件での合併を提案したのでした。
栃木県の作戦はこんな感じ。

菱村の合併は既に話がまとまっている。
それに乗っかる形で、矢場川村の合併も一気に進めたい。
菱村と矢場川村の合併を、交換条件として進めてしまおう。
群馬県としては面白くないですね。
群馬県は地道な活動を続けて、菱村合併の合意に至りました。
栃木県が群馬の苦労にタダ乗りしようとしている。
群馬県からすればそう思ってしまいます。
両県での議論は平行線をたどりました。
しかし、栃木県の一手で形成が変わります。
自治庁当局の調停委員を味方につけて、群馬県に交換での合併を持ち掛けたのでした。
外堀を埋められてしまったので、群馬県は従うほかありません。
栃木県の思惑通り、群馬県は一杯食わされてしまいました
こうして、全国でも類を見ない「交換条件での越境合併」が成立したのでした。

最後に

群馬と栃木での越境合併についてまとめました。
皆さんにも群馬の魅力が少しでも伝わればうれしいです。
youtubeでも群馬の魅力を発信しています。
今回のテーマに興味を持ってもらえたなら、ぜひこちらの動画を見ていってください。
「群馬はなぜ群馬なのか?」
「群馬」という名前のルーツをまとめた動画です。
群馬県民もしくは群馬好きを名乗るのであれば必見です。

 

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