ジョブラボシンポジウム2024

地域DX・地域イノベーションには囲碁を学ぶことが重要?P2Pの提唱者 星合教授が語るその言葉の意味とは?【ジョブラボシンポジウム2024 参加レポ】

なんと今回、ジョブラボぐんまが1年に1度開催している、ジョブラボシンポジウム2024に、お散歩委員会も協力という形で関わらせていただきました!

とても楽しいシンポジウムでしたので、簡単に内容をまとめさせていただきました。ジョブラボぐんまの活動にご興味ある方、ぜひ最後までお読みください!

今年のテーマは、「科学的なつながりがイノベーションを創発する。イノベーションマインドセットの醸成を目指して」です。

地方・地域創生に向けて、地域イノベーション・地域DXの推進が急務です。では、どのようにその地域イノベーションとやらを実現するのか?
それには囲碁がヒントになるそうです。

今回のシンポジウムは、前半に星合教授の講演、後半に囲碁を使ったトレーニング、という2部構成でした。

星合教授は、元NTT研究所主幹研究員で、P2Pネットワークという現在ブロックチェーンなどの技術に応用されているシステムの提唱者です。そのP2Pネットワークの応用として、地域イノベーション・地域DXを起こすためのつながり作りのためのSCB理論を研究されています。

主催者のあいさつ

星合教授の講演の前に、ジョブラボぐんま代表理事の宮坂さんから、本日のシンポジウムに関するご挨拶がありました。

続いて、総務省の佐藤部長から、2024年1月に起こった能登半島の地震被害も踏まえて、つながりを持つことの重要性についてのお話がありました。

たしかに、震災のときなどは繋がりが人の命を救う瞬間がたくさんありますね!

前半: 星合教授の講演「つながりを科学する」とは?

前半は、星合教授の「つながりを科学する」というテーマの講演で、後半は囲碁を実践するとのこと。

よわいつながりを科学するための囲碁トレーニング

「どうして、今回のシンポジウムでわざわざ囲碁を学ぶんだろう?」と思っていたのですが、星合教授の講演を聞くととても納得できました。

地方創生・地域創生のためには弱いつながりが必要

地方創生・地域創生のためには、地域でイノベーション、地域DXを起こす必要があります。

ただし、これまで通りの強いつながりを用いたネットワーク・コミュニティではうまくいかない、と星合教授は説明します。

強いつながりのイメージ

強いつながりとは?

強いつながりとは、名前の通り密接な関係による活動。
例えば以下のようなコミュニティです。

  • サークル
  • 職場の同僚
  • メンバーシップ型の会社と社員

強いつながりは良い面も悪い面もあるので注意が必要!とのことです。

強いつながりの弊害とは?

最近の調査によると、日本人とアメリカ人で、以下のように働き方に対する考え方の違いがあるようです。

  • 社会的貢献意欲をもって働いている人は日本でたった5%…。それ以外は「生活のために働いている」人たち
  • 一方アメリカでは、社会的貢献意欲をもって働いているのは35%程度

これは、日本では、会社と社員が強いつながりがある、メンバーシップ型の働き方が主流というのが原因なようです。
アメリカでも30年前までメンバーシップ型でしたが、脱却が起こりました。その結果、現在では日本と経済成長に差が開いてしまいました…。

こういったデータや、最近のネットワークの研究から、「強いつながりだけでは、イノベーションが生まれない」ということが分かってきたそうです。

注意が必要ですが、強いつながりも何か計画を遂行するなどには重要なので、「絶対にダメ」ということではありません。
強いつながり・弱いつながり、双方を持つことがイノベーションに直結する、と星合教授は説明します。

セミピュアモデルとは?

強いつながりを持ちつつ、弱いつながりも確保することを、セミピュアモデルと呼びます。最近話題の星野リゾートでは、このセミピュアモデルを採用しているらしいです。

P2Pネットワークのイメージ

星合教授曰く、スカイプやSNSも、ブロックチェーンもセミピュアモデルの一つ。
参考サイト: 【イノベーション創発 新たな価値観が地域を救う】(4)P2Pの誕生(下) – 産経ニュース

新しいつながりを作ることが、イノベーションに繋がっていく!対して、同じ会社の社員同士(強いつながり)で議論しても、新しい価値のあるコンテンツは生まれづらい…。

一言でいうと、
「弱くて緩やかで自律的なつながりを、他分野で新しく作っていく」ことがとても大事!
と星合教授は説明します。

地域イノベーション・DX推進を起こすために必要な学び

これまでの研究結果から、地域イノベーション・DX推進を起こすためには、以下を学ぶと良いそうです。

  • 繋がりを言語化する
  • つながりの構築をトレーニング
  • 大局観や戦略性などの思考法の習得・マインド醸成
  • IT/ICTの知識

「繋がりを言語化する」をもう少し説明

言語化できないと、人にうまく意思を伝えられない。科学的に言語化できる人が数人増えれば、そこでネットワークが勝手に構築されていく。

「つながりの構築をトレーニング」をもう少し説明

緩やかなつながりがどういうものか、体験してもらう必要がある。実は囲碁がトレーニングに最適

囲碁は、お互いどれだけ陣地を確保するかで勝敗が決まります。その際に、いかに自分の石をゆるくつなげて効率的に陣地を広げるかというスキルが重要です。
一方で、石同士がギチギチにくっついていて、強いつながりがある状態では、陣地を広げるのはとても大変です。

囲碁を行うことで、「ゆるいつながりの持つ力強さ」を実感することができます。

「大局観や構想力などの思考法の習得・マインド醸成」をもう少し説明

頭が固いとやはりイノベーティブな発想は生まれづらいです。これも、囲碁を用いることで、頭を柔らかくする良いトレーニングになるそうです。

将棋でトレーニングをしている様子

同じく人気のゲームに将棋がありますが、囲碁に対して以下のような特徴があります。

  • 中央集権的で王が取られたら終わり
    • 一方囲碁は、半目でも多かったら勝ち
  • 各駒の役割が決まっている
    • 一方囲碁は、置いた場所や相手の状況によって、石の役割が変わる
  • 予め駒が配置されてからスタート
    • 一方囲碁は、ゼロからスタートする

将棋でも十分トレーニングになりますが、上記を踏まえると、囲碁の方がより適していると星合教授は説明します。

後半: 囲碁を用いた「科学する」ことのトレーニング

後半では、実際に囲碁のルールを教わって、参加者とペアを組んで対局を行いました。

9路盤という小さい碁盤を使って、簡易の囲碁を体験しました。

石同士と連結させた強いつながりばかりだとあまり陣地を広げられないのですが、あまりに石同士離して弱いつながりな状態にすると攻められて負けてしまいます。
強いつながり・弱いつながり、両方をバランスよく用いる感覚・センスというのは、確かに囲碁を使うと身につきそうだと思いました。

他の参加者からは、「確かにここだとつながりが強すぎるか」「逆にここは弱すぎるか」という声が聞こえてきました。
私だけではなく、多くの方が囲碁を通して、地域イノベーションに必要なトレーニングができたと思います。

最後にシンポジウムに参加しての所感

ただ聞くだけにならず、後半にワークの時間があり、全体を通してとても楽しいシンポジウムでした。

私としては、「弱いつながり・強いつながり、両方が大切」と言われても、じゃあどうやってそのコミュニティ・ネットワークを作るのか?運営していくべきなのか?
という点が気になりました。

そのあたりは時間の都合上講演内にお話はなかったのですが、恐らく、ITの力を使ってSNSの近い機能を持つWebサービス・アプリ・プラットフォームを作る必要があるんだろうと予想します。

ただコミュニティ・ネットワークの運営者がマンパワーで運営しようと思っても、運営者を経由しないとつながりが広がらないのであれば、それは「緩く弱いつながり」とは言えないです。
コミュニティに所属するメンバーが自然と「緩く弱いつながり」を構築していくためには、お互いコミュニケーションするためのIT基盤が必要になるはずです。

私は普段エンジニアとしてお仕事しているので、機会があれば、そういったITシステム制作に携わりたいと思いました。


最後に、今回シンポジウムの受付を担当してくれた、お散歩委員会メンバーの副委員長の写真で締めたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございます!

ジョブラボシンポジウムの受付

 

 

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>群馬県桐生市出身のメンバーで構成

群馬県桐生市出身のメンバーで構成

エンジニア・料理人・営業・大工などなど様々な経歴を持つメンバー
ただ一つの共通点は桐生市出身ということのみ

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