前回に引き続き、ワークマン広報部の鈴木様にインタビューを行っています。
- インタビュー記事一覧(クリックすると展開されます)
- ①ワークマンが歩んだ歴史。リーマンショックがオリジナル商品開発のきっかけだった?
②ワークマンの歴史を変えたある異常値…。バイカーからの熱烈な支持を集めたある商品とは?
③「まさかこの行列ってうちの店?」話題のワークマンプラス開店時のエピソードに迫る!
④ワークマンシューズ・ワークマンプロ そしてキャンプ用品販売など、新しい取り組みが目指す道
⑤ワークマンを支えるアンバサダー制度。無報酬でも続く理由
⑥広報部の鈴木さんに聞く!いま、おすすめしたい3つのオリジナル商品(シリーズ)とは?
⑦ワークマンは10年後にどうなっている?ワークマンプラスやワークマンプロの店舗数は?
前回は、ワークマンがPB(プライベートブランド)商品開発に進んだ経緯についてお聞きしました。今回は、そのようなPB商品が世間から大きく注目を集めたある出来事についてまとめています。
前回記事の続きなので、まだの方は是非↑のリンクから読んでみてください。
鈴木様のご経歴
2009年に新卒で株式会社ワークマンにご入社。現在14年目。
店長職経験後に様々な地域のSV(スーパーバイザー)として活動。その後、広報部に移り、現在は広報部チーフを務める。
バイカーさんから注目を集めた商品
PB(プライベートブランド)の開発が2012年ごろ。そして2017に800店舗達成ということで。
その期間で、元々もちろん有名だったワークマンという名前が、メディアやSNSでよく目にするようになったと記憶しています。PBを作った以外に、何か変化とかあったのでしょうか?
元々お客様の声を聞いて製品を作ってはいたんですが、ちょうどこの2012年以降ってSNSがどんどん広がっていった時代でもありました。
そんなある時期に、AEGIS(イージス)という雪寒地区で作業する方が着るような防水防寒の服が、急に売れ始めました。
そうなんですか、それは何か理由があったのでしょうか?
はい、どうやらバイカーさんが「バイクを乗る際に最適だ」とSNSで言ってくれて、それが広がって売り上げが急に伸びたことがわかりました。
凄いですね! 本来は寒いところで作業する方向けの商品だったのが、一般の方が急に着るようになったということですよね?
意図しないニーズに刺さったと…。
そうなんです。そこから、作業を行う方だけでななく、一般の方に向けたPB商品開発も進めていくようになりました。
他にも、厨房シューズという中華料理屋さんのコックさんが履くような靴を販売しています。
厨房シューズですね、メンバーのチャーリ料理長という料理人も使っているようです!
そのような靴を、転びにくいということで妊婦さんに使っていただくことが増えました。これも、我々の意図しないところで、SNSで広まり、そこから急に売り上げが伸びました。
そういった出来事を踏まえて、より一般の方でも着れるようにデザインを変えたりしました。
ちなみに、そういう発見は社内でどのように周知されていったのでしょうか?
私達の情報収集の仕方ですが、基本的にお客さんから店長に、店長からSV(スーパーバイザー)に、そしてSVが本部に、という流れが主です。
最近では、HP・SNSから直接意見をいただく事もあり、情報収集スピードが上がりました。
「こんな用途で使われているよ」という声を現場から拾って、その後、週一回の全体会議で、「こういう発見があったので、売り場から切らさないように発注しましょう」と周知がありました。
皆さんのその時の反応ってどんな感じでした?
「あっそうなんだと」「こんな用途があったのか」と笑
とても面白いです!!本当に意図せず見つけた、ある意味異常事態というか。
他にもそのような発見はありましたか?
あります!
鉄鋼業とか鉄を溶かす仕事をしてる方達は、綿ヤッケという服を着て作業します。
ただ、ニッチな分野で、販売数も多くなかったんですけど、それがキャンプで焚き火の火が防げて穴が開きにくいという紹介をSNSでしてくれた方がいました。
なるほど。そんな用途の転換が!
はい。だったら一般の方に向けてオシャレなデザインにしてみようと開発したところ、売り上げが数倍になりました。
それを的確に拾ってくるのも凄いです!
定量的な分析とエクセル経営
続いて、同じ時期に社内で根付いていった、エクセルを用いた定量的な分析について、聞いてみました。
SNS分析の前に、社内で定量的な分析を行う文化が根付いていったというお話を聞いたことがあります。
そのあたり、いつ頃から始まってどのように根付いていたのか、お聞きしたいです。
2012年頃に、エクセルを使えるようにしようというところから始まりました。他の企業さんって「店舗にどんな商品があるか」「どの商品がどれだけ売れたか」は普通分かっています。
しかし、ワークマンは、現場の人間はもちろん分かっていても、本部の人間は一切把握していませんでした。まず、そこが分かるようにしようということで、エクセルを使用し始めました。
そうなんですか!逆にそれをしなくて、ずっと好調だったのが凄すぎます…!
ありがとうございます笑
店舗在庫が管理できるようになったら、次はどの商品が売れてるいるのか、サイズ単位・カラー単位で把握できるようになりました。
エクセルを用いたメリットを実際に感じましたか?
はい、効率がとても良くなりましたね!
また、エクセルなどの操作が得意な人間が、高度な計算ができる分析ソフトを作り、それをみんなで使うという形で良い方に良い方に進んでいます。
社員の方が自発的に分析ソフトを作っているんですね!
凄いです…。エンジニアの私も見習わないといけないです。
我々はフランチャイズなので、各店舗の発注を本部が勝手に行う事はNGです。ただ、「これが売れるからこういう発注した方がいいよ」という提案ができる分析ソフトを開発して導入しました。
そのソフトのおかげで、あとはそれを見て店長が納得したら発注ボタンを押すっていうだけになりました。それによって毎日1~2時間かかっていた発注業務が早いと5~10分で終わるようになり、店舗としてもメリットが大きかったです。
社員の方だけではなく、オーナーさんの満足度も高くなりますよね。残業も少なくなりますし。
そうですね。そういう声はよく聞いています。
20時閉店で、早ければ20時10分にはお店を出られたりとか。
それは早い…!
他にもメリットはありましたか?
はい。PB商品について、需要予測ができると、無駄のない発注ができるようになります。
その結果、商品が売れ残って値下げする必要がなくなることに繋がっています。
まとめと次回
偶然の発見から、作業を行う方だけではなく一般の方へ顧客のターゲットを広げたワークマン。
社内の方も「あ、そんな需要が!」と意外に思ったというエピソードが、とても興味深かったです。
鈴木様はご謙遜されていましたが、そういった異常値を拾い上げるセンスがワークマンの凄さだと思いました。
しかし、そのようなPB商品の認知度が上がっても、想定よりも売り上げは伸びなかったそうです。そこでワークマンは、PB商品の売り上げ増加を狙って、ある施策を行いました。
どんな施策で、どれほど効果があったのか?次回は、そのあたりについて深堀りしていきます!お楽しみに!
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④ワークマンシューズ・ワークマンプロ そしてキャンプ用品販売など、新しい取り組みが目指す道
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⑦ワークマンは10年後にどうなっている?ワークマンプラスやワークマンプロの店舗数は?